月の裏側にあるフィンセン・クレーター(直径約73km)内の高解像度画像を解析して、650個の落石およびその経路を見つけました。その落石の原因として、隕石の衝突および既存断層の再活動を想定しました。前者の場合、隕石の衝突が最大モーメントマグニチュード(Mw)4.63の月震を発生させた可能性があり、後者の場合、既存断層跡(lobate scarps)に沿った動きによって発生した月震は、玄武岩質と斑れい岩質の基底岩でそれぞれ最大Mw 6.86と6.90が発生したことに相当します。そこで、隕石クレーターと既存断層跡の空間分布と落石およびその経路の空間分布を比較して、既存断層の再活性化が有力であると結論づけました。これは、最近でも南極エイトケン盆地が潜在的に活発な地殻変動をしていることを意味します。

これは、ルジ・トリシットJSPS研究員(現・JAXA開発研究員)と奥田花也さん(現・大気海洋研究所博士課程)の共同研究です。

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